マイナスイオンの構造や発生の仕組み(詳しい解説)

このページでは、マイナスイオンの構造や発生の仕組みを詳しく解説させていただきます。

マイナスイオンとは?

そもそもマイナスイオンとは、どのようなモノなのでしょうか。
その説明をするには、中学理科で勉強する分子や原子の話から始める必要があります。

物質を作っている原子

世の中の物質は全て原子という、非常に小さな粒からできています。

酸素原子や水素原子、鉄原子など、100種類以上が確認されており、その原子同士が結び付くと分子となります。
たとえば、1つの水素原子と2つの酸素原子が結び付いて水分子になる、などです。

原子の構成と電気の関係

原子は、原子核、陽子、電子、中性子から構成されています。

このうち、陽子と電子は電気を持っています
陽子はプラスの電気電子はマイナスの電気です。
ちなみに、中性子は電気を持っていません。

原子核は原子の中心であり、原子核の中に陽子と中性子が入っており、原子核の周りを電子が回っています。
その陽子と電子は、1つの原子に同じ数だけ存在しています。


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先ほども書いたように、陽子はプラスの電気、電子はマイナスの電気を持っているため、陽子と電子が同じ数だけ存在すると、プラスマイナスゼロとなります。
それゆえ、原子は基本的には電気的に中性、つまり電気を帯びていません。

ただ、原子の中を見てみると、電子が回る軌道がいくつかあって、それぞれの軌道ごとに電子が入ることのできる最大数は異なっています。
一番内側の軌道には最大2個、二番目の軌道には最大8個、三番目には最大18個という具合です。

そして、この最大数まで電子で満たされた状態になって、初めて原子は物質として安定することになります。

逆にいうと、中途半端な数の電子しか軌道に入っていない場合、余っている分を他の原子に渡すか、不足分を他の原子からもらわない限り、原子は物質として安定しないということです。

たとえば酸素原子の場合、一番内側の軌道に2個の電子が入っていて、二番目の軌道に電子が6個入っています。
ただ、二番目の軌道には8個の電子が入って初めて安定するので、このままでは不安定です。
この場合、他の原子から2個の電子をもらって二番目の軌道の電子を8個にするか、逆に、6個の電子を他の原子に渡して二番目の軌道の電子をゼロ(一番内側の軌道に2個の電子が入っているだけの状態)にしないと物質としては安定しません。


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つまり、原子が物質として安定するには、他の原子から電子をもらうか、他の原子に電子を渡すかのどちらかになります。

他から電子をもらう場合

他の原子から電子をもらって安定する場合、もともと陽子と電子は同じ数だったのに、電子の方が陽子より多くなります
そして電子はマイナスの電気を持っているため、陽子より電子の方が多くなると、その原子はマイナスの電気を帯びることになります。
このマイナスの電気を帯びた状態の原子マイナスイオンと呼ぶのです。

他の原子に電子を渡す場合

他の原子に電子を渡して安定する場合、もともとは同じ数だった電子と陽子ですが、電子の方が陽子より少なくなります
陽子の方が多くなるわけです。
陽子はプラスの電気を持っているため、電子より陽子の方が多くなると、その原子はプラスの電気を帯びることになります。
このプラスの電気を帯びた状態の原子プラスイオンと呼びます。


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以上のように、マイナスイオンは電子が陽子より多くなりマイナスの電気を帯びた状態の原子で、プラスイオンは陽子が電子より多くなりプラスの電気を帯びた状態の原子、ということになります。

マイナスイオンが発生する仕組み

ではマイナスイオンは、どのように生み出されるのでしょうか。

以下ではマイナスイオンが発生する仕組みを見ていきます。

マイナスイオンはもともと自然界で発生するものですが、マイナスイオン発生器を使って人工的に発生させることもできます。

自然界でマイナスイオンが発生する仕組み

自然界でマイナスイオンが発生する仕組みとして、水しぶきや宇宙線、放射性物質によるものが代表的です。

水しぶき

水を何らかの固体に勢いよく衝突させると、水しぶき、つまりたくさんの細かい水滴になります。
水滴は水分子の集まりですが、その水分子の中に存在する電子が空気中の成分と結合することによりマイナスイオンとなります。
これをレナード効果と呼びます。

滝つぼの周りや森の中にマイナスイオンが豊富に観測されるのは、このレナード効果によるものです。
ちなみに、森の中や滝つぼの近くでは、1立方センチ当たり5‚000~10‚000個のマイナスイオンが発生しています。
1立方センチというと、1辺が1センチの箱をイメージして頂ければ良いかと思いますが、指先ほどの大きさになります。
その中に約5‚000~10‚000個のマイナスイオンが入っているということです。

宇宙線や放射性物質

地球には常に宇宙から宇宙線(陽子を主成分とする高いエネルギーの放射線)が飛来しており、この宇宙線が地上で大気と衝突することで、マイナスイオンが発生します。

また、宇宙線以外にも、私たちの身の回りには、放射性物質がたくさん存在しています。
地中から少しずつ漏れて出てきたり、空中に漂ったりしている放射性物質です。
これらの放射性物質も大気中の様々な成分と衝突することで、マイナスイオンを発生させます。

通常の地上付近では、宇宙線や放射性物質によって1立方センチ当たり2‚000個のマイナスイオンが発生しています。
ただし、このようにしてマイナスイオンができるのと同時に、人体に悪影響を及ぼすプラスイオンも発生します。
ですから、通常の空気中には、マイナスイオンだけでなく、プラスイオンも同じだけ含まれているということです。

人工的にマイナスイオンを発生させる仕組み

人工的にマイナスイオンを発生させる代表的な方法は3つあります。

水破砕方式、放射線方式、放電方式です。

水破砕方式

先ほどの水しぶきの原理を人工的に応用したのが、この水破砕方式です。
機械によって水しぶきを発生させて、マイナスイオンを作り出します。

放射線方式

2つ目は放射線方式です。
こちらも先ほどご説明した地中から漏れ出る放射性物質を人工的に利用した技術です。

微弱な放射性物質を放出する鉱石(トルマリンなど)から放射線を放出させ、窒素や酸素といった大気中の成分をマイナスイオンにします。
ごくわずかな量の放射線であれば、かえって健康に良いということが明らかになっており、これを放射線ホルミシスといいます。
ホルミシスとは、量が多すぎると害になる物質も、わずかな量であれば良い影響をもたらすという考え方です。

放電方式

最後は放電方式です。
これは特殊な電極に電圧をかけて電子を発生させ、その電子が酸素や水分子など空気中の成分と結び付いてマイナスイオンを作り出す方式です。

この放電方式は、さらに火花放電とコロナ放電という方式に分かれます。

放電方式の1つ目は火花放電といい、2つの電極間に与えた電圧によって瞬間的に電気を生じさせる方式です。
火花という名前の通り、バチッと一瞬光り、電子が放出されマイナスイオンが発生します。

2つ目はコロナ放電方式。
これは、尖った電極に高電圧をかけて持続的な放電を起こす方法です。
放電によって発生する電気が揺れる様子が、太陽を取り巻いているガス層(コロナ)に似ていることから、この名前が付けられています。
火花放電のようにバチッと瞬間的に放電するのではなく、ジジーッという非常に小さな音を出しながら継続して放電します。

では、このマイナスイオンには、どのような効果があるのでしょうか。
以下のページで、マイナスイオンの代表的な効果をご紹介しています。
ぜひ、引き続きご覧ください!

>> マイナスイオンが私たちの体にもたらす効果